志張陽太郎文学館

俳句の世界

-春篇-

花見かな それともただの ホームレス

(解説)

 のどかな春の公園で寝転がっている全身なんとなく紺色と鼠色の印象の人がいた。

 桜が咲いていたので花見だろうかとも思ったのだがその周囲には人がおらず不思議に思った。その時の心持を詠んだものである。

春を売る 少女が今日も 街に立つ

(解説)

 これはもうそのままである。この場合の「春」が季語になっているのかどうか、多少の不安はあるが。

ヤバい人 わりと見かける 春先か

(解説)

 これもそのままである。この場合の「春先」は間違いなく季語である。

街頭で 立ちすくむ人 泣いていた

(解説)

 この句は「花粉症」のワードが隠れ季語になっているのだが、それでいいのかどうか、私は知らない。

春の宵 見かけた人は ヨイヨイか

(解説)

 春の夜に渋谷ヒカリエで天丼を買ってエスカレーターに向かっているとやたらとこっちに細かいお辞儀をする人がいた。

 無視するのも悪いと思いうなずき返していたがあまりにもしつこいので変だと思いはじめた。するとどこからか付添の人がきて「さあ帰りますよ〜」のようなことを言ってその人は連れられていった。

 ヨイヨイ (中風の後遺症) であったのだとその時気がついた。去り際にその人は「アゥガゥゴァー」のようなことを言っていたが意味はわからなかった。